「ボリュメトリックキャプチャ技術」を使用したVFXのワークフローについて
こんにちは、映像ディレクター/VFXアーティストの涌井嶺です。
今日はVFX映像制作にあたり、自分のメモもかねて「VFX映像制作の流れ」について記録を残したいと思います。
イメージを固める
今回の実写合成映像制作のテーマは「自分の実写合成でどんなことができるのか一目で分かるような映像を作る」としました。まずは自分の実写合成の強みについて考え、以下の2点が浮かびました。
- 合成だと一見わからないような映像を作る
- かつ、CGだからこそできる表現を取り入れることもできる
この2点を意識しアイディアを出していきます。
この時点でのアイディアは以下の通りです。
- ワンカットで、背景が次々と変わっていくような映像にしたい
- 横断歩道の白い部分だけが残って、他の部分が崩落してその下に世界が広がっている
→もともとあったアイディアの中で、実現可能性が高い要素なので取り入れたい - 最初は実写にしか見えないくらいリアルな現実世界からスタート
- だんだん周りの世界が崩壊していく
- 最後にグリーンで撮ってました!というネタバレを入れたい
- 世界が変化し始めるきっかけ何にしよう?
→横断歩道のアイデアに合わせて、信号機のボタンを押すのをきっかけにしたい
映像の完成イメージはAdobeのCMのこれです。
アイディアを元に構成を組む
横断歩道のアイディアが膨らんだので、それを作品の舞台に据えて構成を考えます。
最初に組んだ構成はこちら
「信号機のボタンを押してから信号が青に変わるまでの待ち時間」に、周りの世界がパタパタと変化していく
交差点にたたずむ主人公。信号機のボタンを押すと、地面は横断歩道の白線だけ残り、その上を主人公が歩くなかで、周りの世界が次々と変化していく
気づくと、世界は真っ白になり、信号機だけが浮いている。白い世界が崩れ落ち、元の交差点に戻ってくる。横断歩道を進んでいくと、監督の「カット!」の声とともに周囲の世界がなくなり、すべてがグリーンバックで撮影されていたことが明かされる
撮影の際に意識することを考える
構成が出来たので、撮影の流れを考えます。
スタジオの広さに対して完成版のスケールを大きくするため、回転台など利用して主人公が歩くストロークが最大限長くなるように工夫する必要があります。
Ian Hubert氏のこちらの作品でも、エレベーターを使って実際のスタジオの広さ以上の空間を演出しています。
こういった撮影で使える空間と3D上の空間に対する工夫を今回自分の作品にも取り入れたいと考えています。
アイディア出しから、撮影の準備までの段階はこんな感じでした。
次回は実際の撮影の際の記録を残したいと思います。